北西セム文字(読み)ほくせいせむもじ

世界大百科事典(旧版)内の北西セム文字の言及

【アルファベット】より

…古代ギリシア人自身この文字のことを〈フェニキアの文字〉と呼んでいたこと,〈フェニキア文字〉がギリシア文字――とくに初期のそれ――と非常によく似た字形,名称,配列をもつこと,各文字の名称が後者からは説明できないのに前者からは説明できること,などの事実から,ギリシア人が当時の海洋民族たるフェニキア人からこの文字体系を学んだものであることは,確定的である。
[歴史]
 (1)北西セム文字 〈フェニキア文字〉は前2千年紀の中ごろから,フェニキア語だけでなく,同じく北西セム語族に属するヘブライ語,モアブ語,アラム語の表記にも用いられ,正確には北西セム文字と呼ばれるべきであろう。この文字体系は,それまでメソポタミアやエジプトで用いられてきた象形楔形(くさびがた)文字ヒエログリフ(聖刻文字)のように1字で1語や1音節を表記するのではなく,一つの単音ないし音素を表記するという原理に基づくものであり,したがってその数も22個と少なく,字形も単純化されている。…

【ヘブライ文字】より

…古代イスラエル人は,前2千年紀のカナン侵入後,そこで既に用いられていた北西セム文字(一般には〈フェニキア文字〉として知られる文字体系。〈アルファベット〉の項を参照)を借用して,自分たちの言葉すなわちヘブライ語を書き記したと考えられ,前10~前6世紀の碑文などはすべてこれで書かれている。…

【文字】より

…したがって,ギリシア文字がセム系のフェニキアの文字を借りたものであるということはほぼ疑いがない。フェニキア文字(北西セム文字)は今日地球上に広く行われている文字の多くを派生させたものとして文字史上に大きな位置を占めるものであり,一方ギリシア文字は子音だけを表していたフェニキア文字を借り,そこに母音の表記を発達させた点に画期的な進歩がみとめられる。フェニキア文字は前13世紀にさかのぼる古資料が発見されているが,これを含むセム系の文字が系譜的にどこにつながるかということについてはいろいろむずかしい問題がある(簡単な線の組合せから成る字形の類似は偶然の類似もありうる)が,古代エジプトの象形文字にさかのぼるものであろうというのが通説となっている。…

※「北西セム文字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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