十二支縁起説(読み)じゅうにしえんぎせつ

世界大百科事典(旧版)内の十二支縁起説の言及

【苦】より

…そのように輪廻の〈苦〉を対象化して逃避しようとするのではなく,輪廻の〈苦〉の根拠を禅定の思惟において探求して個体存在(名色)にあることを究明し,そこに執著する欲望(愛)や所有(取)を放棄せよと説く。ここから多種多様の生老病死などの〈苦〉(苦)を思惟しつつ,〈苦〉の原因(集)が個体存在への欲望や所有にあることを究明してそれを放棄し,〈苦〉の寂滅(滅)を自己自身の内に体得し,〈苦〉の寂滅に至る修行道(道)を実践するという苦集滅道の四諦説が説かれ,さらに衆生が老いぼれ死にゆくという〈苦〉の根拠をつぎつぎに究明して所有や欲望や個体存在や意識の流れ(識)などを見いだし,それらを滅尽させることを教える十二支縁起説が説かれる。つづいて小乗仏教の阿含・阿毘達磨において四諦説や縁起説の〈苦〉が詳細に分析されて,苦苦性(苦しい感情の苦),壊苦性(楽しい感情が失われゆく苦),行苦性(すべての輪廻的存在の苦)の三苦性,生老病死の四苦,後者に愛別離苦(愛するものと別離する苦),怨憎会苦(憎むものに会遇する苦),求不得苦(求めるものが得られない苦),五盛陰苦(5種の根幹存在よりなる輪廻的存在の苦)を加えた八苦ないし百十苦などの〈苦〉の分類学説が発達する。…

※「十二支縁起説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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