世界大百科事典(旧版)内の南北二宗論の言及
【董其昌】より
… 書家であり画家であった董其昌は,書画の鑑識や評論の方面でも理論的な指導者であった。絵画における南北二宗論の提唱(つまり南宗画を推称し,北宗画を貶(おと)す)はことに有名で,彼以前の文人画の活動をしめくくり,以後の活動の指針となったものとして高く評価されている。董其昌の絵画制作は,二宗論を実作に移したもので,北宋より元に至る彼が南宗系とみなす古典的な大画家たちの画風を単純,明快な構成要素に分解し,誰にでも用いられる造形的単位をつくり,これを画面上に再構築するというきわめて近代的なもので,そこでは抽象性と自然らしさが微妙なバランスをとっている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」