世界大百科事典(旧版)内の反戯曲の言及
【前衛劇】より
…〈不条理〉という概念は,すでにA.カミュなどに代表される実存主義の作品に認められるが,表現方法として従来の論理的思考に基づく劇作法を完全に否定したところが,不条理劇の特徴である。E.イヨネスコの処女作とされる《禿(はげ)の女歌手La cantatrice chauve》(1950)が,〈反戯曲(アンチ・ピエス)〉とも題されていたように,それは従来の劇作法を徹底的に愚弄するものであった。イギリス風の中流家庭でのイギリス風の夫婦の会話に始まるこの劇では,言語は日常性の意味を離れて核分裂し,それを語る人間のアイデンティティさえも崩壊させてしまう。…
※「反戯曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」