古典荘園制(読み)こてんしょうえんせい

世界大百科事典(旧版)内の古典荘園制の言及

【農奴】より

…他方で,従来いかなる支配にも服さず,自由人とされていた人々が,しだいに特定の領主に従属するようになり,ことに7世紀以降,領主制が著しく拡延してくるとともに,上昇する奴隷的非自由人と合体して,同一の階層をつくり出す傾向を示す。こうして,9世紀に古典荘園制(ビリカツィオンVillikation制)と呼ばれる所領形態が普及すると,賦役労働を納付しながら,人頭税フォルマリアージュ(結婚税),マンモルト(死亡税)などの領主の個別人身的な支配に服する農民層が,農村住民の典型的形態となってくる。自由人に由来する者の多くは,端的に非自由人と形容されることは少なかったが,奴隷的非自由人起源の者と本質的に変わらない状況になっており,これらをひっくるめて農奴としてよい。…

【賦役】より

…封建領主による土地保有農民からの剰余労働収取を地代(封建地代)とする場合には,賦役は労働地代として,生産物地代,貨幣地代と並ぶ前資本制地代の主要な一形態とされる。 ヨーロッパにおいて,賦役の先駆的形態は,古代社会の解体過程で奴隷が土地を獲得し,奴隷主のための労働が週日の一部に制限されることを通じて現れたが,それが本格的に普及したのは,領主制が古典荘園制と呼ばれる形態をとった,中世初期である。そこでは,所領が領主直営地と農民保有地とから成っていたが,前者に必要な労働の大部分は,後者を耕作して生活の資を得ていた農民による賦役として調達された。…

【封建制度】より

… 封建制度が〈独立権力〉の組織化の役割を果たしたことも,以上のことと関連している。フランク王国では領主制が7世紀ころにはほぼ全面的に発展し,さらに8世紀に入ると古典荘園制(ビリカチオン制)の形成が進行し,それに伴って〈領主権力〉が生み出された。ところで,この領主権力は完全に自然発生的な独立の権力であり,それら相互の間にはさしあたりはなんらの秩序も存在せず,この状態をそのまま放置すれば社会は無政府状態に陥らざるをえない。…

【領主制】より

…この両者を結びつけるきずなは賦役労働で,典型的な場合には,農民はマンス=フーフェ当り週に3日程度を,領主直営地の耕作と領主家計での雑多な労働にささげなければならなかった。したがって,古典荘園制のもとでの農民は,標準的保有地の耕作によって家族生活を維持することで,自立性を確立していたとはいえ,同時にその労働力に対する領主の強い権利が存在していたのであり,農民経営の基盤はなお幼弱であった。 農民のこのような経済的状況は,領主による強い人身的支配と対応していた。…

※「古典荘園制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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