古期ロシア語(読み)こきろしあご

世界大百科事典(旧版)内の古期ロシア語の言及

【ウクライナ語】より

…ウクライナを中心とする旧ソ連領内,ポーランドやスロバキアなどの東欧諸国およびアメリカ,カナダなどに主として分布するウクライナ語人口は4400万を超え(1979),スラブ語中でロシア語に次ぐ勢力を有する。東スラブ人は9世紀末にキエフを中心とする統一国家を形成し,10世紀末にキリスト教(正教)を受容してから言語文化の統一を進め,共通の文語〈古期ロシア語〉による豊富な文献を遺した。14世紀後半以降ポーランドの支配下にあった南西ロシアの言語とモスクワの大ロシア語との分化が進行し,17世紀中ごろまでにウクライナ語,ベラルーシ語,ロシア語の差は決定的となった。…

【ロシア語】より

… 10世紀末にキリスト教とともにその典礼言語である南スラブ起源の古教会スラブ語(古代教会スラブ語)をキリル文字とともに受け入れ,それを契機として標準的な書きことばが生まれ,14世紀までに多くの文献資料を残した。その言語を古期ロシア語Old Russianと呼ぶが,母音重複full vocalization――スラブ基語*gord(*は再構・措定形であることを示す),古教会スラブ語gradに対し古期ロシア語gorod(城塞,都市)などのように子音間の流音(r,l)の前後に母音(o,e)が重複する現象――や鼻母音(,ȩ)の消失,スラブ基語の*tj,*dj,*kt,*gtに古教会スラブ語はštまたはždで対応するのに対し,古期ロシア語はčまたはžで対応するなど,多くの独自性を示している。その一方,古期ロシア語は古教会スラブ語と共通して,双数(両数)のカテゴリー(名詞,形容詞,数詞,代名詞,動詞のすべてに及ぶ)と名詞の呼格(単数のみ)があり,動詞直説法の時称(時制)体系が現在,未完了過去,アオリスト,完了,過去完了,未来,未来完了の7種類に及ぶなど,古い特徴を多く保っていた。…

※「古期ロシア語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」