世界大百科事典(旧版)内の司法権の優位の言及
【司法】より
…裁判所法3条1項が〈裁判所は,日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し,その他法律において特に定める権限を有する〉と定めているのも,そのような解釈に沿うものであるが,行政事件の裁判権が司法権に属させられたことにより違法な行政活動に対する救済制度は明治憲法下のそれに比べて飛躍的に強化された。
[司法権の優位]
裁判所が裁判にあたって適用すべき法令が憲法に適合するか否かを判断する権能を〈違憲立法審査権〉(違憲立法審査制度)というが,裁判所にこの権能を認める制度は19世紀の初頭以来アメリカにおいて判例の積重ねの上に確立し,第2次大戦以降は広く各国の憲法で採用されるようになった。日本においても明治憲法下では認められなかったこの制度を,大戦後の日本国憲法は81条の明文で正面から採用するに至っている。…
【高柳賢三】より
… 東京大学退官後,成蹊大学教授(1949‐67),同学長・成蹊学園総長(1949‐57)となったほか,57‐65年,憲法調査会会長を務め,1950年代後半の憲法問題の論議が政治的な色彩をあまりにも強く帯びていたことを戒め,学問的にアプローチすべきことを強調し,そのような角度から日本国憲法の制定過程についても資料を収集,それに基づいて実証的な研究を行った。著書・論文は多いが,おもなものとして,《英米法源理論》(1938,全訂版1956),《司法権の優位》(1948,全訂版1958),《極東裁判と国際法》(1948),《日本国憲法制定の過程》(共編著。1972)があり,また,《英米法辞典》(1952)の共編者の一人でもあった。…
※「司法権の優位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」