同和奉公会(読み)どうわほうこうかい

世界大百科事典(旧版)内の同和奉公会の言及

【同和対策】より

…この十ヵ年計画は被差別部落の自覚更生をうたい,産業経済,教育文化,環境整備の諸施設のために約5000万円を投じて,部落問題対策を完結させようとした戦前最大の融和政策であったが,初年度36年の予算措置が計画の5分の1にすぎず,37年には日中戦争が全面化したため,国家総動員体制強化の政策の中に吸収される運命をたどった。中融協は41年,〈一億総進軍の急需〉にこたえるべく同和奉公会と改称し,その経済更生計画も物的・人的資源の調整をはかるものとなり,もはや部落差別の解消ではなく,部落住民を戦争遂行に動員することを主目的とするにいたった。
[戦後の同和対策事業の推進]
 第2次世界大戦後の1946年,部落解放運動は再発足をとげ,水平社運動の伝統を受け継いで,部落解放全国委員会(解放委)が結成された。…

【被差別部落】より

…しかし,37年7月,〈日中戦争〉の勃発と拡大は国内のファッショ化をいちだんと強化し,いわゆる〈挙国一致〉の戦時体制のもと,あらゆる革新政党・運動団体がそうであったように,水平社もまた苦渋を忍んで方針を転換せざるをえず,侵略戦争の遂行を基本とする〈国策〉をあえて容認し,戦争協力を声明しつつ,被差別部落大衆の生活維持に意を注がねばならなかった。また,中央融和事業協会を中心に統一されて活動してきた他の融和団体は,41年6月,政府によって新たに〈同和奉公会〉に組織替えされ,すでに1940年8月の第16回大会を最後の大会として,それ以降はめだった活動もみられなかった各地の水平社組織の活動家たちも,少なからずこれに参加していった。この改組は,〈融和運動〉を国の行政と一体化した形で拡大・浸透させ,前年の10月に結成されていた官製の国民統制組織たる〈大政翼賛会〉と並存させるのを目的としたもので,全国各地の支部の運営には市町村長・町内会長・学校長・各種団体長・僧侶・神官などが充てられ,行政主導型の組織活動が行われたのであるが,戦時下における関係予算の実質的減少という事態のなかでは,被差別部落大衆の物質的・精神的な支えとして,軽視できない意義を担ったのみならず,その経験の数々は戦後の部落解放運動・同和行政にも多大の教訓を残したとみてよいであろう。…

※「同和奉公会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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