世界大百科事典(旧版)内の咄の者の言及
【咄∥噺∥話】より
… 〈咄〉という漢字に,本来〈はなし〉の意味はなく,〈アア〉というような叱る声,舌打ちする音などの擬声語であったが,室町時代ごろから〈ハナシ〉という訓(よみ)が付けられたらしく,16世紀初頭成立の《文明本節用集》にその例を見る。この訓が一般化したのは室町後期らしく,諸大名の側近に侍して慰安役をつとめた御伽衆(おとぎしゆう)を〈咄の衆〉〈咄の者〉などと呼び,そのなかに機知に富んだおどけ咄をする者がいたことから,江戸時代になると,当意即妙の短いおどけばなしの意味を持つようになった。ただし,落語関係用語以外の用法としても,〈咄したい事もあれども〉(《西鶴諸国はなし》)のように,現在の〈話〉と同様に使用されていた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」