《嗚呼忠臣楠氏籏》(読み)ああちゅうしんなんしのはた

世界大百科事典(旧版)内の《嗚呼忠臣楠氏籏》の言及

【由比正雪(由井正雪)】より

…当代の事件を出版または劇化することが法規に触れるため,舞台化は困難を伴ったが,1729年(享保14)2月竹本座で竹田出雲ら作の《尼御台由井浜出(あまみだいゆいのはまいで)》の浄瑠璃が上演され,正雪は奇井中節の名で登場,ついで歌舞伎では57年(宝暦7)1月大坂姉川座《けいせい由来記(こんげんき)》に志井常悦として登場,また59年9月竹本座の浄瑠璃《太平記菊水之巻》(近松半二ら作)は南北朝に世界をとり,宇治常悦の名で,足利転覆を企てたが最後は南北朝和合を条件として自害する結末となっている。ほかにその改作物《嗚呼忠臣楠氏籏(ああちゆうしんなんしのはた)》(1771年12月,豊竹座),宮城野,信夫の仇討を主筋とした《碁太平記白石噺(ごたいへいきしろいしばなし)》(1780年1月,江戸外記座)などの慶安事件物があるが,いずれも仮名で登場,1870年(明治3)3月守田座での《樟紀流花見幕張(くすのきりゆうはなみのまくばり)》(河竹黙阿弥作)によって,初めて法的に解禁され,通称《慶安太平記》の名で,以来しばしば上演される。しかしこの作でも初演時には実名をはばかり宇治常悦とし,正雪よりも丸橋忠弥に重点が置かれて性格も丸橋がよく描かれている。…

※「《嗚呼忠臣楠氏籏》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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