四体液説(読み)したいえきせつ

世界大百科事典(旧版)内の四体液説の言及

【ガレノス】より

…古代においてヒッポクラテスに次ぐ最も著名な医学者。古代の医学を集大成し,以後17世紀に至るまで西欧における医学の権威として崇められ,アラビア医学にも絶大な影響を与えた。小アジアの文化都市ペルガモンに生まれ,幼少から十分な教育を受け,ことにさまざまな学派の哲学を熱心に学んだ。16歳より医学を学びはじめ,20歳より各地を旅し,アレクサンドリアでの5年間の研究を経て医学の修業を完成した。故郷に戻り剣闘士(グラディアトル)の医師を務めた(157‐161)後,ローマへと赴き,皇帝マルクス・アウレリウスの信任をも得て,医師として目覚ましい活躍を遂げた。…

【気質】より

…このうち,血液が優勢ならば,陽気で快活な〈多血質sanguine〉が,胆汁が優勢ならば,短気で興奮しやすい〈胆汁質choleric〉が,黒胆汁が優勢ならば,陰気で憂鬱(ゆううつ)な〈黒胆汁質melancholic〉が,また粘液が優勢なら,鈍感で冷血な〈粘液質phlegmatic〉がそれぞれ生ずると信じられた。このいわゆる四性論(四体液説)は,こんにちの目からみれば,科学的根拠を欠く空想の産物にすぎないが,体液病理学を医学の基本とみなした古代ギリシア・ローマ期に広く行きわたったばかりか,ルネサンス期を経て,近代医学の成立する19世紀まで受け継がれ,下記のクレッチマーの気質論にも多少の影響をおよぼした節がある。ちなみに,さきの4気質のうち〈黒胆汁質(メランコリック)〉は,こんにちの医学その他の分野でよく使われる〈メランコリー〉(憂鬱,鬱病)という言葉のなかになお生きつづけている。…

【ヒッポクラテス】より

…また医師の倫理の面でもいわゆる〈ヒッポクラテスの誓い〉が,後世彼の名とともに繰り返し語られることになった。 ヒッポクラテスの学説の中で,体液による病気発生のメカニズムを説明した体液論は,とくに彼の女婿のポリュボスの作とされている〈人間の自然性について〉の中で体系化され,血液,粘液,黒胆汁,黄胆汁のいわゆる四体液説となった。これが2世紀のローマ最大の医学者ガレノスによって高く評価され,たんに後世の医学説ばかりでなく,ひろく人間観一般に対しても大きな影響を及ぼした。…

※「四体液説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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