世界大百科事典(旧版)内の国体論の言及
【国粋主義】より
…日本主義ともいう。時期により変遷はあるが,血統的に一系の天皇をいただく日本の国家体制の〈優秀性と永久性〉を強調する国体論が,核心をなした点では変りがないといってよい。
[思潮と運動]
〈国粋〉〈国粋主義〉という言葉は,1880年代後半に三宅雪嶺,志賀重昂ら政教社の雑誌《日本人》が,明治維新後の文明開化,直接的には条約改正と関連して政府が推進していた欧化主義に反対して,〈国粋保存主義〉を唱道したのに始まる。…
【国体思想】より
…幕末の欧米列強による開国の強要は尊王論と攘夷論の結合を生み,国体思想はいっそう排外主義的ナショナリズムの様相を濃くした。
[明治期]
明治維新により朝廷に政権が帰し,かつ人民を直接維新政権が掌握せざるをえなかったため,国体論は天皇統治の正当性を人民に論証するためにその全エネルギーを集中した。そのため復古国学者らにより,天照大神の最高神化とそれが下したとされる神勅による正当性論が主流を占めた。…
【国体明徴問題】より
…幕末以来,記紀神話を基礎としながら,日本国の特色は万世一系の天皇をいただく神国である点にあると主張する国体論が起こってきたが,それをうけた明治以後の国体論は二つの方向で展開された。第1は,1890年の教育勅語が,忠孝の道を〈国体の精華〉としたように,天皇崇拝を国民道徳の根幹にすえようとする方向であり,第2は,国体を統治権の所在によって分類し,大日本帝国憲法は天皇を絶対とし統治の全権が天皇にあると規定している,という憲法解釈を軸とするものであった。…
※「国体論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」