世界大百科事典(旧版)内の国家行為の言及
【統治行為】より
… 統治行為論に基づき事件を処理した裁判例として,最高裁判所の苫米地(とまべち)事件に対する判決があげられる。それは,内閣により行われた衆議院の解散が憲法に違反するとして訴えた事件であるが,最高裁判所は,1960年に,憲法の権力分立の制度の下においても司法権の行使についておのずから限界があり,あらゆる国家行為が無制限に司法審査の対象となるわけでなく,衆議院の解散行為のように,直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は司法審査権の外にあるとした。この判決を例としつつ,統治行為論を司法権の限界を語る観念として肯定する学説上の立場は多い。…
※「国家行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」