世界大百科事典(旧版)内の土呂久鉱害の言及
【鉱害】より
…68年に被害者により補償要求の訴訟がなされ,71年6月の第一審判決,72年8月の第二審判決とも被害者の勝訴となった。イタイイタイ病は水俣病とともに重金属汚染についての認識を新たにさせ,群馬県の安中鉱害(東邦亜鉛安中精錬所による土壌汚染)をはじめとするカドミウム汚染や,宮崎県の土呂久鉱害(亜ヒ酸を製造していた土呂久鉱山周辺での慢性ヒ素中毒)をはじめとするヒ素汚染が問題化することとなった。これらの鉱害は,戦時体制下での乱掘や戦後の復興から高度成長期にかけての強引な生産拡大に原因するものである。…
【ヒ素(砒素)】より
…【溝口 勲】
[ヒ素による公害]
ヒ素を含む粉塵に暴露されたヒ素鉱山やヒ素化合物の製造工場などの作業者にヒ素中毒症が発生し,ヒ素まけ,亜ヒまけなどと呼ばれる皮膚炎を起こし,黒皮症,ボーエン病,皮膚癌,肺癌などが発症する。〈亜ヒ焼き〉と呼ばれる亜ヒ酸(三酸化二ヒ素)製造所の排煙,排水が周辺の環境を汚染し,作業者や住民に慢性ヒ素中毒症を起こした事例として,宮崎県土呂久鉱害や島根県笹ヶ谷鉱害が知られている。また,ヒ素化合物製造工場の排水によって汚染した井戸水によって住民にヒ素中毒が発生した事例もある。…
※「土呂久鉱害」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」