世界大百科事典(旧版)内の売薬行商の言及
【薬売】より
…なかでも著名な越中富山の薬売の起源は元禄年間(1688‐1704)といわれ,近世末には数十種の薬が全国に普及し,藩の最大の物産となり,明治以後さらに盛行した。ほかに奈良県丹波市(たんばいち)(現,天理市)付近,岡山県総社市周辺,新潟県西蒲原地方も,売薬行商の本拠地として知られる。これら売薬業の発展は,配置売薬(略して置薬)という特異な販売法の創案による行商組織による。…
【毒消売】より
…〈どっけしうり〉ともいう。毒消丸という食傷(胃腸障害),腹痛の売薬は,京都,薩摩(鹿児島),肥後(熊本)など各地にあったが,一般に売薬行商の毒消売といえば越後(新潟)のそれを指す。紺絣の筒袖・脚絆姿の女性の売子で親しまれてきた。…
【反魂丹】より
…売薬名。同名の売薬は各地にみられたが,越中富山売薬の主力商品として知名度が高かった。それは越中売薬の行商が配置販売方式を採用し,現物を先渡しして翌年使用済みの分だけの代金を受け取り,残品は新品と交換し,さらに補充配置するという行商方式で全国に行商圏を広げていたからである。反魂丹は死者の魂をよび返すとされた反魂香にあやかって,死(ひんし)の病者を回復させる効能があるとして,中国でつけられた薬名である。…
※「売薬行商」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」