多因子遺伝病(読み)タインシイデンビョウ(その他表記)Multifactional genetic disease

六訂版 家庭医学大全科 「多因子遺伝病」の解説

多因子遺伝病
たいんしいでんびょう
Multifactional genetic disease
(遺伝的要因による疾患)

 メンデル遺伝のルールにのっとった病気は、ある遺伝()遺伝子型により悉無(しつむ)(オール・オア・ナッシング=すべてかゼロ)形式で形質を決定する「単一遺伝子病」と呼ばれます。

 その一方、形質のなかには身長に代表されるように、連続的な形質がたくさん観察されます。このような形質は、複数の染色体に存在する遺伝子座の遺伝子産物(蛋白)機能の総和に環境要因が加わり、それらの相互作用の結果、個体の形質が決まります。このような形質に関係する遺伝を「多因子遺伝」と呼んでいます。

 多因子遺伝病には、本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつしょう)糖尿病などの生活習慣病や精神疾患が知られています(図12)。

 非連続的形質ではありますが、多くの先天奇形(せんてんきけい)症候群も多因子遺伝病と考えられています。非連続的多因子遺伝病では家系内で同じ病気になる確率は一般と比較すると高いのですが、メンデル遺伝病に比べると低く、近親度(血縁の近さ・遠さの尺度表5)が下がると、病気になる確率は急速に低下し、一般集団と同程度に近づきます。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

関連語をあわせて調べる

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む