世界大百科事典(旧版)内の多形倒錯の言及
【異常性欲】より
…気の合った同性愛者が共同生活をしている分には問題がないが,同性愛者が異性愛者と結婚生活を送れば,早晩,問題を起こしてくる道理である。 フロイトは人間の幼児時代は多形倒錯的であると主張した。のぞく,露出する,大小便に興味をもつ,サド・マゾヒズム的傾向などが幼児期に明瞭にみられる。…
【性】より
…〈性〉ということばにはさまざまな意味がある。まず〈性〉は生物の多くの種にみられる二つの表現形態の区別で,ヒトであれば男性―女性,動植物であれば雄性(雄)―雌性(雌)の区別を意味する。次に,この二つの性が存在するところから生じる行動,現象も一般に〈性〉といわれる。 ヒトの場合,性は遺伝子によって決定され,発生の過程で内性器,外性器の性分化が起こる。これを一次性徴という。次いで思春期にいたると,男子では筋骨の発達やひげが生えるというぐあいに,一見して〈男らしい〉〈女らしい〉体つきとなる。…
【性倒錯】より
… S.フロイトによると,性倒錯は幼児性欲期の諸衝動が成人期にいたるまで統合・解消されることなく残存したもので,部分本能への固着ないし退行とみなしうる。実際,潜伏期(学童期)を終わって再び性欲動が活発になる思春期前期には倒錯的衝動が自覚されたり行動に現れたりすることが多く,フロイトはこれを〈多形倒錯(期)〉と称した。正常な発達においては,これらの衝動は正常な性器性愛の中に統合され,空想や前戯の中にその痕跡をとどめるにすぎなくなるのだが,心理‐性的な発達に障害がある人では,この幼児的な衝動が性活動の最終的な目標や対象となってしまった,と説明される。…
【幼児性欲】より
…また快感獲得の対象が主として自己自身の身体部分であるという意味で〈自体愛的〉(オートエロティズム)である。また,性器以外の身体部位がエロティックな満足をもたらすのだから〈多形倒錯的〉でもある。実際さまざまな性倒錯者は,フロイトによって幼児性欲の段階に固着したものとみなされている。…
※「多形倒錯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」