世界大百科事典(旧版)内の大安宅の言及
【安宅船】より
…こうして伊勢船,二形船(ふたなりぶね)などの商船が誕生するのであるが,これら大型商船の上部構造物(上甲板より上部にある屋形など)を堅木の厚板で囲い,これに銃眼をあけて正面に大砲(おおづつ),側面には弓矢鉄砲を備え,上甲板上には2層ないし3層の櫓(やぐら)をあげたものが軍船安宅船である。なかでも大安宅と呼ばれたものには,全長100尺に余り(30~40m),排水量300トンに及ぶ堂々の大船もあり,織田信長の〈鉄の船〉(火箭(かせん)を防ぐため木船の外面を薄鉄板で覆ったもの。船名不詳)や豊臣秀吉が朝鮮出兵の際にその水軍の旗艦として建造させた日本丸などはことに有名である。…
【和船】より
…しかし,翻って考えてみれば,工作のもっともむずかしい船底湾曲部を刳舟にゆだねていたという,それ以前の人々の知恵にもまた脱帽したいと思う。(6)近世江戸期に入ると,和船史上最高の傑作と思われる伊勢船および,それに軍船用の艤装を施した安宅船,大安宅船などの巨船は姿を消し(後者は徳川家康の命により強制没収・焼却された),鎖国の海に浮かぶ大型和船は,冒頭に述べたベザイ船と関船だけになる。これらの船体構造原理は,初期の構造船と大差はない。…
※「大安宅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」