世界大百科事典(旧版)内の《妹と背鏡》の言及
【小説】より
…すなわち,主人公内海文三の内面に入りこむとともに,たえずそれを揶揄(やゆ)する声を響かせる無人称の語り手の存在である。たとえば作者が〈傍観者〉の立場に立つ逍遥の《妹と背鏡(いもとせかがみ)》の場合,覗(のぞ)きや立聞きの手法をかりて作中人物の内面が明らかにされるが,《浮雲》の語りは,読者が直接的に内面世界に参入するスタイルを切りひらいた。回想の現在時と過去の体験が一人称の語りのなかで交錯する森鷗外の《舞姫》も,ほぼ同じ効果が発揮されている。…
※「《妹と背鏡》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」