世界大百科事典(旧版)内の実質的証拠法則の言及
【行政審判】より
…この手続を規律する通則的な法律はなく,個々の法令の定めるところによって審判は行われるが,ふつう審判は公開され,対審的な形をとって行われ,処分の相手方やその他の利害関係者は,意見を述べ,証拠を提出し,参考人の陳述や鑑定を要求することができる。
[審決と実質的証拠法則]
全体としての行政審判は,審判機関が,審判を経て行った事実認定にもとづいて,法的判断を行うことによって,終結する。この判断は,一般に,審決とよばれている。…
【行政手続法】より
…日本の行政法では,行政決定は行政庁が専決的に行い,その決定の相手方等の手続的権利は事後の行政争訟の段階で保障すれば足りるとされてきた。しかし,行政決定が行政庁が集積している専門的知識・経験にもとづく裁量にゆだねられるとしても,その裁量判断がどのような基準にもとづいて行われるのか,どのようにして基礎事実を認定するのかが明らかにされていないと,公正な手続として国民の信頼を得ることはできない。特に,日本では行政決定の過程でさまざまな行政指導が行われており,行政決定の手続の不透明さに疑問がもたれていた。…
【証拠】より
…ただし,例外的に,自白の証明力は制限され,自白のみに基づいて有罪判決をすることはできない(憲法38条3項,刑事訴訟法319条2,3項)。また,行政委員会が準司法手続によって行った審判の適否を裁判所が審査する場合に,行政委員会のした事実認定が実質的な証拠を基礎としている限り,裁判所はこれに拘束される(実質的証拠法則。例えば,公正取引委員会の認定した事実につき,独占禁止法80条)。…
【審決】より
…公正取引委員会の審決にはこのような正式の審判審決のほか,委員会が独禁法違反行為の存在を指摘し,その排除を行政指導する勧告に対して,事業者が応諾する場合に審判手続を経ないで勧告と同趣旨の審決をなすことを認める勧告審決(独占禁止法48条)と,審判手続が開始された後に,被審人が審判開始決定書記載の事実と法の適用を認め,その後の手続を経ずに審決を受けることを申し出た場合に,独禁法違反を除去するための対応策の計画を被審人にみずから作成させ,公正取引委員会がそれを適当と認めた場合には,その後の手続を経ずに計画書記載の措置と同趣旨の審決をなすことを認める同意審決(53条の3)の2種類の略式の審決の制度があり,現実には,審決のほとんどは勧告審決でなされている。 事前にこのような手続を経ているため,公正取引委員会の審決の取消訴訟は東京高等裁判所の専属管轄とされ,事実認定についても裁判所が公正取引委員会の認定を一定の範囲で尊重する,実質的証拠法則が採用される等,訴訟面でも特殊な扱いがなされている。【来生 新】。…
※「実質的証拠法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」