世界大百科事典(旧版)内の密檐式塔の言及
【小雁塔】より
…中国,陝西省西安市南郊の大薦福寺(だいせんぷくじ)にある塔。唐の景竜年間(707‐709)の建立。塼造,方形の十五重塔であったが,明の1555年(嘉靖34)の地震によって最上2層が倒壊し,相輪も失われ,今は十三重,全高約43mがのこる。嵩岳寺塔(河南省登封)などとともに,各層の軒を近接して重ねる〈密檐(みつえん)式〉塔の代表例で,軒端の輪郭線がゆるやかな砲弾状を描くのも当時の塔の特徴。初層入口楣(よこばり)にはすぐれた石刻文様がある。…
【塔】より
…一般に,幅・奥行きに比べて著しく高い建造物,と定義される。しかし,塔には人間が昇っていく場所という意味内容が伴っており,そのため煙突は塔とはいえず,テレビ塔や電波塔もそれだけでは高い構築物にすぎない。また,古代ローマの記念柱であるトラヤヌスの円柱は,中を螺旋(らせん)階段が昇り,塔ともいえる。先史時代の巨石記念物や古代エジプトのオベリスクは,石塊そのものであって塔ではない。 多くの場合,塔は発生的には軍事上の目的(監視,防御)あるいは宗教上の目的(天上世界の希求)をもっており,同時に塔はそれを実現し,支える権力の象徴ともなった。…
※「密檐式塔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」