世界大百科事典(旧版)内の専門画家の言及
【オランダ美術】より
…しかし大多数の市民たちは,特別の知識がなくても素直に享受できる親しみやすい画題を好んだため,15世紀以来ネーデルラント絵画の中で副次的な部分ながら魅力ある役割を演じてきた風景,静物,建築,風俗がそれぞれ自立して分野を形成し,肖像と並んで絵画制作の主流の位置を占めるにいたる。さらに不特定の顧客を得るための過酷な自由競争は必然的に画題のいっそうの細分化を招き,きわめて限定された特定の主題を熟練した写実の技巧で繰り返し描く幾多の〈専門画家〉を生み出した。各分野の代表的画家としては,風景画では冬景色のアーフェルカンプ,川岸風景のファン・ホイエン,平原眺望のコーニンクPhilips Koninck(1619‐88),夜景のファン・デル・ネールAert van der Neer(1603ころ‐77),牧畜風景のカイプとポッテル,イタリア風景のボトJan Both(1618ころ‐52)とベルヘムNicolaes Berchem(1620‐83),海景のファン・デ・カペレJan van de Cappelle(1626‐79)およびファン・デ・フェルデ,風俗画では農民画のファン・オスターデAdriaen van Ostade(1610‐85),中流家庭の生活を扱ったデ・ホーホ,メツーGabriel Metsu(1629‐67),テルボルフ,愉快な教訓画のステーン,静物画では軽食画のヘーダWillem Claesz.Heda(1594‐1680),果物や豪奢な食器を得意としたカルフ,動物画ではドンデクーテルMelchior d’Hondecoeter(1636‐95),建築画では教会内部のサーンレダム,デ・ウィッテEmanuel de Witte(1618ころ‐92),街景のファン・デル・ヘイデンなどの名が挙げられる。…
※「専門画家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」