世界大百科事典(旧版)内の山中誕生譚の言及
【弁慶】より
…誕象は源平合戦のころ田辺(たなべ)にいた熊野別当湛増のことと考えられるから,出雲系の弁慶誕生譚でも弁慶の出自を熊野と結びつけていることになる。熊野には御伽草子《熊野本地》のような山中誕生譚が別にあって,熊野の山伏や巫女(みこ)たちが熊野信仰宣伝のために利用していたと考えられている。弁慶の誕生譚も同根の山中誕生譚で,《義経記》でも愛発(あらち)山のことや亀割(かめわり)山での義経の若君の誕生のことなど,くりかえし山中誕生譚が現れるのも,熊野との関係を暗示しているもののようである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」