山蔭中納言(読み)やまかげちゅうなごん

世界大百科事典(旧版)内の山蔭中納言の言及

【日本料理】より

…小笠原流の伝書である《食物服用之巻》には,白鳥のような珍しいものを供された場合,はしをつける前に白鳥をほめるのが礼儀で,食べてからほめるのは味をほめるので,ほんとうにもてなしをほめたものではない,といったことが記されている。どういういわれによるものか,藤原山蔭(ふじわらのやまかげ)(824‐888)を包丁道の祖にまつり上げたすえ,山蔭中納言藤原政朝などという正体不明の呼び方をつくり出したのも,こうした流れの中においてであった。懸命の努力というべきであるが,宮仕えの料理人としてはやはり絶えずおのれの手がけた料理によって主君を満足させる必要がある。…

【料理人】より

…庖丁人はやがて職業的料理人をいうようになるが,その料理人の心得として《今川大双紙》は魚鳥の味のよいところを主人や上座の人に勧めるべきだとか,鳥の焼物でもも肉と胸肉を同時に供する場合は,美味なもも肉を前に盛りつけるべきで,それが〈秘事〉だなどといっている。こうした状態の中で,礼法などとともに料理の流派が形成されてくると,宮廷方の四条家がその大宗ともいうべき位置を占め,どういう伝承によったものか,藤原山蔭(やまかげ)(824‐888)が日本料理の祖とされ,山蔭中納言四条政朝という奇妙な呼び方をされるようになり,前記の園別当入道をもこれと並記する書が現れるようになった。 日本の料理人が,料理人本来のしごとをなしうるようになったのは,江戸後期に町人層が十分に力を蓄積してからと思われる。…

※「山蔭中納言」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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