岩屑なだれ(読み)がんせつなだれ

最新 地学事典 「岩屑なだれ」の解説

がんせつなだれ
岩屑なだれ

debris avalanche

粘性の高いマグマの貫入による火山体の変形水蒸気爆発,地震などが原因で,火山体の不安定な部分が表層なだれのように高速で崩れ落ちる現象岩屑なだれ堆積物は表面に流れ山地形をもち,分解しきれなかった給源火山体構成物の大きな塊を含むことが特徴。低温のことが多く,運搬機構に水は寄与しない。等価動摩擦係数は0.06~0.2の範囲にあり,非火山地域の崩落より小さい。1980年の北米セントヘレンズ火山,1888年の磐梯山,1984年の御嶽山伝上崩れ等がよく知られた発生事例である。岩屑流ドライアバランシュと呼ばれたこともあり,以前は火山泥流と識別できていなかった。火山災害としては,火砕流と並ぶ危険な火山災害要因である。海や湖に流れ込み,津波が発生した例もある。参考文献T.Ui et al.(1986) J. Volcanol. Geotherm. Res., Vol.29: 231

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

関連語 内山

世界大百科事典(旧版)内の岩屑なだれの言及

【火山泥流】より

…これは山麓に大きな災害をもたらす。激しい爆発で山体がくずれ,岩屑なだれ(デブリアバランシュdebrisavalanche)が流下し,その下流部では水と混じり泥分の多い泥流になることもある(セント・ヘレンズ火山,磐梯山など)。このように初めから水を伴わない場合もあり,それらは大規模で被害も著しく大きい。…

【土石流】より

…土石流中の水は川の水のように土石を流送する媒体として働いているわけではなく,土砂を含んで密度を増して岩塊を浮きやすくし,堆積物のすき間を埋め,重力によって流下する岩屑のいわば潤滑剤としての役割を果たしている。土石流は岩屑流とほぼ同義であるが,広義には岩屑が急斜面をなだれ落ちる岩屑なだれや,土砂を主体とした泥流を含めて,水を含んだ高速度の土石の流動現象全体をさすこともある。山崩れや岩屑なだれが途中から土石流に移行したり,土石流が泥流に変わることもある。…

【マス・ムーブメント】より


[急速な流動]
 火山灰や砂,粘土など細粒の堆積物やそれらを多く含んだ岩屑層に,降雨,融雪,地下水の湧出,火山活動などで急に多量の水が加わると,速度の大きな斜面物質の流動が起こる。物質の性質と含水量の多少によって土砂流earth flow,泥流mud flow,土石流,岩屑なだれdebris avalancheに分けられる。いずれもその発生は一時的かつ偏在的である。…

【山崩れ】より

…発生が突発的で物質の移動速度がきわめて速く,崩れ落ちた部分が原形をとどめないほど崩壊する,などの点で動きの緩慢な地すべりと異なる。 一般に山崩れと総称される斜面崩壊現象には,表層の岩屑が斜面をすべり落ちる岩屑すべり,基盤岩から岩盤が剝がれてすべり落ちる岩石すべり,岩盤や岩屑が一挙に崩れて高速で斜面をすべり下る岩屑なだれ,さらには火山活動による火山体の崩壊などを含んでいる。規模の大きな山崩れでは,途中から土石流や泥流に変わって谷を流下することが多い。…

※「岩屑なだれ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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