世界大百科事典(旧版)内の幽霊婚の言及
【死】より
…
[社会的代償]
他界での第二の生という観念が十分に展開されていない文化(例えばアフリカの牧畜民社会)では,個人の死は子孫の繁栄とか名まえの継承など社会的な代償によって一種の救済を受ける。ヌエル族のあいだで幽霊婚として知られる慣習は,結婚をすることなく死んだ人物の名義で別の者が結婚することによって,そこに生まれた子どもを死者の子どもとする制度であるが,財産の相続など経済的な側面を別にしても,これによって死者は社会的な無化から免れることができるのであり,その意味で死という問題を社会制度のなかできわめて巧みに馴致(じゆんち)するものだといってよい。隣族のディンカにおいても,子どもをもつことは不死を達成する唯一の方法であるといわれている。…
※「幽霊婚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」