世界大百科事典(旧版)内の引き句の言及
【語り】より
… これらの古代の語りから《平家物語》のような歴史語りが生まれてくるが,他方《竹取物語》のように文字で書かれた物語も生まれてくる。《平家物語》の語り方は,江戸時代の譜本や今日の伝承から考えると,語る部分である〈語り句〉と,歌う部分である〈引き句〉に大別され,語り句の代表は素声(しらこえ)で,話すような調子である。引き句は節(旋律型)が一定していて,それらの節にはサゲ,マワシ,ユリなどの小さな音型と,それらを合成して作られる口説(くどき),初重(しよじゆう),中音(ちゆうおん),三重(さんじゆう),折声(おりごえ),指声(さしごえ),拾(ひろい)などの大きな旋律型とがある。…
【語り物】より
…ここに文学と音楽との新しい関係が始まる。音楽としての《平家物語》は江戸時代になると平曲と呼ばれるが,これは語る部分である〈語り句〉と歌う部分である〈引き句〉に大別される。そこで,狭義にはこの語り句の部分を語り物といい,広義にはその内容が叙事的で口頭で演唱されるという意味で,《平家物語》の全体を語り物という文学や音楽の種類に分類する。…
※「引き句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」