世界大百科事典(旧版)内の御伽文庫の言及
【御伽草子】より
…狭義には,江戸時代に〈御伽文庫〉としてセットで刊行された絵入刊本23編をさす。すなわち《文正さうし》《鉢かづき》《小町草紙》《御曹子島渡》《唐糸草子》《木幡(こわた)狐》《七草草紙》《猿源氏草紙》《物くさ太郎》《さゞれいし》《蛤(はまぐり)の草紙》《敦盛》《二十四孝》《梵天国》《のせ猿さうし》《猫のさうし》《浜出草紙》《和泉式部》《一寸法師》《さいき》《浦嶋太郎》《横笛草紙》《酒呑童子》がそれで,《酒呑童子》の奥付に〈大坂心斎橋順慶町 書林 渋川清右衛門〉の刊記があることから,渋川版とも呼ばれている。…
【猿源氏草紙】より
…江戸時代,寛文年間(1661‐73)に大坂心斎橋の書肆渋川清右衛門が〈いにしへのおもしろき草子〉を選び,《御伽文庫》と名づけ板行した23編中の一つ。室町時代の成立。…
【奈良絵本】より
…御伽草子は,絵巻でも写本のかたちでも流布したが,多くがこの横本の奈良絵本のかたちで商品としてつくられたものであり,絵屋,扇屋などで,御伽草子の庶民版として量産されたものと考えてよかろう。この横本奈良絵本の形式・内容を踏襲したのが,狭義の御伽草子,すなわち絵入刊本23編のいわゆる渋川版,御伽文庫である。この横本以前に,一まわり大きい,鳥の子紙に雲形模様の表紙の奈良絵本があり,これらには,挿絵の中に会話が書き込まれていたり,本文が数行にわたって画の丁に割り込んでいたり,画面の上下をすやり霞よりもむしろ雲形で仕切ったりしたものが見られ,絵巻以来のかたちをとどめていることを明らかにみてとれる。…
※「御伽文庫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」