六訂版 家庭医学大全科 「心原性ショック」の解説
心原性ショック
しんげんせいショック
Cardiogenic shock
(循環器の病気)
どんな病気か
急激に心臓のはたらきが悪化して血圧が低下し、十分な酸素供給ができなくなることから、全身の臓器のはたらきが低下し、放置すると死に至る状態です。より重症な急性
原因は何か
最も多い原因は急性心筋梗塞(しんきんこうそく)です。心筋梗塞の範囲が広い場合、
脈拍数が非常に多い
急性
症状の現れ方
前項の急性心不全の症状に加えて、発汗があり顔色や口唇の色も悪くなります。全身がぐったりとして、受け答えも鈍くなってきます。状態が悪くなると、呼びかけに答えられなくなります。
検査と診断
急性心不全と同様の検査を行います。さらに、心臓の状態や不整脈の状況を遂次把握するために、心電図モニター、動脈血液ガス分析(血液中の酸素濃度測定)を行います。
重症の場合は、静脈から入れたカテーテルを肺動脈に留置して、心臓のなかの血圧を逐次モニターする検査を行います。
治療の方法
まず血圧を上昇させるために、輸液、昇圧薬などの薬剤を投与します。酸素を投与し、必要に応じて気管内挿管と人工呼吸を行います。
重症の場合は、大動脈のなかに風船を入れて心臓のはたらきを補助する大動脈バルーンパンピング(IABP)、心臓と肺のはたらきを一時的に補助する経皮的心肺補助(PCPS)を使用することがあります。
同時に、原因となっている急性心筋梗塞に対して
病気に気づいたらどうする
致死的状態ですので、治療は一刻を争います。
どのような状況にあっても、救急車を使って早急に専門病院に入院することが必要です。
関連項目
急性心筋梗塞、心筋炎、拡張型心筋症、大動脈解離、急性心不全、心室頻拍、心室細動
磯部 光章
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報