世界大百科事典(旧版)内の《思想の科学》事件の言及
【言論統制】より
…国家が公権力によって民衆の表現活動を制限すること。政治権力が特定の目的を達成するため,それを阻害し,または阻害するおそれのある表現,つまり好ましくない表現を抑圧することである。このような言論統制には多くの場合,他方にそれと見合うプロパガンダ(政治宣伝)が伴う。例えば,反戦的言論を統制する一方で,〈聖戦〉意識の宣伝による民衆の戦争に対する自発的献身を調達するというように,言論統制とプロパガンダとは機能的には盾の両面の関係にある。…
【思想の科学】より
…1946年5月,武谷三男,武田清子,都留重人,鶴見和子,鶴見俊輔,丸山真男,南博,宮城音弥,渡辺慧らによって先駆社より刊行された思想雑誌。その趣旨は,思索と実践の分野に論理実験的方法を用いること,英米思想の紹介には批評的態度を維持し,日本社会の分析,批判に使用可能かどうかを考えることにあった。当初は季刊,後に月刊,再び季刊となった。哲学・思想史研究,言語論,コミュニケーション論とともに大衆の思想に着目し,大衆文学,流行歌,映画,芸能など広く大衆文化の研究にもすぐれた先駆的業績を示した。…
【風流夢譚事件】より
…嶋中事件ともいう。《中央公論》は1960年12月号に深沢七郎の創作《風流夢譚》を掲載したが,この作品は皇室を侮辱したものであるとした右翼団体は中央公論社に対する圧力を強めた。61年2月1日夜,大日本愛国党の元党員の少年が中央公論社嶋中社長宅に侵入し,社長夫人に重傷を負わせ,お手伝いさんを刺殺した。当初,中央公論社は《風流夢譚》掲載について,実名小説の取扱いに配慮を欠いていたことを認め,世間を騒がせたことに遺憾の意を表し,殺傷事件発生後は,この種の暴力に対し,〈社業をとおして言論の自由を守る〉ことを社告によって誓ったが,その直後,この社告を否定し,全面的に謝罪する〈おわび〉を発表して右翼の攻撃を回避した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」