怨霊物(読み)おんりょうもの

世界大百科事典(旧版)内の怨霊物の言及

【演劇】より

…その意味では,世阿弥も大和猿楽の伝統として指摘する〈鬼〉は,人間を超えた異形な力の発現であり,これは日本の芸能には限らないが〈聖なるもの〉を〈異形な力の発現(クラトファニー)〉としてとらえる観点に通じるものであり,共同体を外部から脅かすそのような力は,人間がその擬態・演戯をすることでその領分を限る必要があった。それが御霊神と結びつけば,まさにギリシア悲劇の始原的形態に近づくわけだし,江戸歌舞伎の荒事(あらごと)は〈御霊神〉としての曾我五郎の化身であり,さらに〈怨霊物(おんりようもの)〉は,能から歌舞伎を経て1960年代末のアングラ演劇まで,一つの系譜学を形作るほどである。 こうしてみると,日本演劇にも〈劇(はげ)しい力〉は遍在していて,ただそれが,古代ギリシアに発する西洋劇作術のごとく,人間と人間を超える運命の対立・葛藤であれ,個人と個人のそれであれ,分節・構築される視座と手段が異なった。…

※「怨霊物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...

実質賃金の用語解説を読む