世界大百科事典(旧版)内の憑霊信仰の言及
【憑物】より
…このような意味にそって憑物をめぐる信仰を理解するならば,一方に事物に憑く可能性をもったさまざまな霊たちの群,他方にはそうした霊に憑かれる人間を含むさまざまな事物の群,そして特定の霊が特定の事物に憑いた状態,つまり憑霊現象の群が想定される。したがって,これら三つの群の複雑な関係とそれを支える諸観念の統合化された総体を,憑物信仰ないしは憑霊信仰と呼ぶのが妥当であるが,憑物研究を進めてきた民俗学や文化人類学の研究はまだその段階にまで達していない。 憑物の信仰にもっとも早く着目した民俗学は,〈憑物〉という語を,上に述べた広い意味での憑物としてではなく,その一部をなす特殊な信仰に限定し,そうした信仰の伝承状況,分布,成立過程などを解明しようとしてきた。…
※「憑霊信仰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」