…農地改革前の主として東北地方の農村にしばしばみられた。スケという言葉で主家への労働提供を表すのは岩手県の一部であるが,同様の労働をヤトイ(雇い),テツダイ(手伝い),テマヅトメ(手間勤め),オヤク(お役)などともいう。スケの内容は,岩手県二戸郡のある村の例では,田植,田の草刈り,稲刈りなど,毎年ほぼ一定の日数に決まっている農作業と薪伐り,すす掃き,屋根の草取りなど,必要に応じて働きに出る家事の諸作業であった。…
…実際,江戸,大坂ともに火消人足は土木建築の鳶で組織されており,両者は同義で使われた。しかし,建築人足の鳶は必ずしも鳶口を使う者とは限らず,大工の手伝いや杭打ちなどをするため,京坂では手伝い,手伝い人足とも呼ばれたのである。 鳶は今日でも土建業者の下請作業に従事しているが,それぞれの縄張りを有していて正月の松飾や祭礼の際の飾付けを請け負ったり,正月の注連飾を売る店を出したりする。…
…とくに地引網漁は多くがモヤイであった。日本の伝統的な共同労働には労力を一方的に提供するテツダイ(手伝い),労力を交換するユイ(結),そしてこのモヤイがあったが,そのなかで最も共同性が強い。そのため,個人の所有観念が強まり,また競争が盛んになるとモヤイは急速に姿を消し,現在ではほとんど見られない。…
…家々の間で労働力を交換しあって作業を相互に手伝うこと。ユイの発音が変化してイイ,エエ,ヨイあるいはヨイコなどと各地で呼ばれる。沖縄でユイーマールというのもユイに発した言葉である。またテマガエ(手間替え),テマガリ(手間借り)などともいう。ユイは複数の家が組んで,同じ人数の労働力を同じ日数だけ互いに提供しあって同じ作業を行うもので,短期決済による労働力の等量交換に特色があり,各家が多くの労働力を集中的に必要とする場合に採用される。…
※「手伝い」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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