世界大百科事典(旧版)内の投下労働価値説の言及
【古典派経済学】より
…この定理は,社会の進歩につれ地代は増加し利潤率は低下する,地主の利害は社会の他の階級の利害に反する,というものであった。リカードはこの論証に,投下労働価値説による賃金と利潤の相反理論を用いた。商品の相対価値が投下労働量に比例するとすれば,賃金の騰落は利潤だけに影響し商品の相対価値には影響しない。…
【労働価値説】より
…スミスはその《国富論》(1776)において,労働こそが人間が自然に対して支払う〈本源的購買貨幣〉であることを明らかにするとともに,労働の量が価値の真実の標準尺度であることを指摘し,それを彼の経済学の体系の基礎に据えた。しかし,その規定が商品を生産するのに投下された労働量によるのか(投下労働価値説),それとも商品が支配することのできる労働量によるのか(支配労働価値説)を必ずしも明りょうにはしなかった。しかもその2様の把握は資本主義的商品生産社会を〈初期未開社会〉と区別する彼の視点とも対応し,最終的には彼自身の労働価値説を市場の需給関係で決定される賃金,利潤,地代それぞれの自然率によって構成される現象に埋没した生産費説に帰着させることになった。…
※「投下労働価値説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」