抽象バレエ(読み)ちゅうしょうばれえ(その他表記)abstract ballet

知恵蔵 「抽象バレエ」の解説

抽象バレエ

ストーリーのないバレエ。20世紀バレエはこれが主流を占める。ジョージ・バランシンがその創始者。描かれるのは人間の身体の織り成す美しい造形美であると同時に、音楽の絵解きである。「目で見る音楽」といわれるゆえんである。クラシック・バレエは純粋舞踊と演劇を分離したが、後者をなくしてしまったのが、抽象バレエである。その意味で、クラシック・バレエの後継者ともいえる。プロットレス・バレエとも呼ばれる。バランシンの代表作には「シンフォニー・イン・C」「フォー・テンペラメント」「バイオリン・コンチェルト」「アゴン」などがある。

(鈴木晶 舞踊評論家 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の抽象バレエの言及

【バランチン】より

…これを母体としてアメリカン・バレエ団ができ,現在のニューヨーク・シティ・バレエ団に発展した。振付においては純粋の舞踊のみが究極の目的であり,舞踊とは人体という楽器の奏でる視覚的音楽であるという考えに立っており,物語のない,いわゆる〈抽象バレエ〉を多く創作した。これは従来のバレエにはなかった一つの形式である。…

【バレエ】より

…ことにバランチンを主とするアメリカン・バレエ学校の設立(1934)によって,多くのアメリカ人の舞踊家を輩出するようになり,それは今日の〈ニューヨーク・シティ・バレエ団〉の母体となった。このバレエ団は,バランチンのストーリーのない〈抽象バレエ〉を多く上演しており,これは新しい時代の新しいバレエとして注目され,その影響は全世界に及んでいる。また39年〈バレエ・シアター(のちのアメリカン・バレエ・シアター)〉も結成され,前者に対抗するバレエ団として活躍している。…

※「抽象バレエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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