世界大百科事典(旧版)内の改善刑論の言及
【刑罰】より
…その特別予防効果は,犯罪者の社会復帰を図ることにより達成されるとして社会復帰刑論とも呼ばれる。また,犯罪者の改善を図ることにより達成されるとして改善刑論,犯罪者の教育を図ることによって達成されるとして教育刑論とも呼ばれる。 このようなさまざまの考え方を時代思潮との関係でみると,18世紀末から19世紀初頭にかけて,市民社会の成立期に,アンシャン・レジームの過酷な刑罰制度を改革して合理的なものにしようという目的で主張されたのは,主として,一般予防論ないし相対的応報刑論であった(前期旧派)。…
【刑法理論】より
…そして,(4)犯罪の成立について行為者の反社会的性格・動機などの主観的側面を重視し(主観主義,性格責任論),(5)そのような反社会的性格による社会的危険性をもつ者は,社会が自己を防衛するためにとる一定の措置を甘受しなければならない負担を負うとした(社会的責任論)。そして,(6)刑罰は行為者の反社会的性格を改善・教育するための手段であって(改善刑論,教育刑論),(7)行為者の再犯の予防を目的とするものであり(特別予防論),(8)このようにして社会を犯罪から防衛するのである(社会防衛論)と主張した。 この新派の主張する行為者主義,主観主義,性格責任論は,不明確な主観的要素によって刑法の適用を左右する可能性をもち,個人の自由,人権の保障にとって危険を含むものであった。…
※「改善刑論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」