教養主義(読み)きょうようしゅぎ

世界大百科事典(旧版)内の教養主義の言及

【教養】より

…実利主義的,立身出世的,政治的な明治の〈修養〉概念に対して,大正の〈教養〉には内面的,精神的,非ないし反政治的,人格主義的等々のニュアンスが強く帯びさせられているわけである。これが日本で教養という言葉のもっている歴史的含蓄であるとすれば,教養主義的偏向が強く戒められねばならないのはもとよりであるが,しかし他方,たとえば専門課程と一般教養課程とに分けられている現代日本の大学教育のカリキュラムにおいて顕著に見られる後者の軽視・蔑視などにはその裏返しの傾向も認められる。訳語としての教養という言葉,およびその実質的内容が,いまだ日本では安定を得るほどに深く根ざすにいたっていないということであろう。…

【読書】より

…近代初期は,福沢諭吉ら実学的インテリゲンチャの啓蒙思想が勢力をふるい,〈実なき学問〉(《学問のすゝめ》)を排し,経国済民のためとなるような読書が要求された。しかし,明治末期から大正時代に入ると,時代閉塞感を反映して,文学や哲学を重んじ科学や技術を軽視する〈教養主義〉が支配的になる。それは非政治的,内省的,自己完成的な傾向をもっており,読書の対象は西欧の哲学や文学であった。…

※「教養主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」