世界大百科事典(旧版)内の新しい波の言及
【SF】より
…しかもSFのそうした面は今日まで受け継がれており,幾つかの大国が手を結べば(小さな民族の意志など無関係に)世界平和が実現するとか,ロボットに知性を与えながら人間に奉仕するものという前提を設けるなど,いわば思考実験としてはいとも御都合主義的なものでしかなかった。折しも60年代に入って環境汚染やベトナムでのアメリカの敗戦,月への人間の到着など幾つかの大きな事件が世界観の変更を求め,テクノロジー社会の行きづまりを人々が感じ始めたとき,〈新しい波(ニュー・ウェーブ)〉と呼ばれる改革運動が生まれた。イギリスではムアコックM.Moorcockが編集する《ニュー・ワールズ》が唯一のSF雑誌だったが,バラード,オールディスなど新しい作家たちの出現とともに,積極的にアメリカSFの批判を始め,これをアメリカではメリルJ.Merrilが支持し,ディレーニS.R.Delany,エリソンH.Ellison,ル・グイン,ウィルヘルムK.Wilhelm,ディッシュT.M.Dischといった新しい作家群が同様の主張のもとに登場したため,大きな論争をまき起こした。…
※「新しい波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」