世界大百科事典(旧版)内の木年貢の言及
【熊野杉】より
…和歌山県熊野川河口の新宮を輸送基地とする杉材の称であるが,主産地は上流の北山郷(現,奈良県吉野郡上北山村,下北山村)である。杉,ヒノキ天然林の蓄積豊かな北山地方の林業開発は,同地方が江戸幕府領となった近世初期に始まるが,その当時から幕府は北山郷14ヵ村に〈木年貢〉制を敷き,本年貢代りに収納する杉,ヒノキ材(長さ3間半の1尺2寸角木)のほか,材木前渡金に当たる〈拝借銀〉を融資し,併せて年800本を超える良材を上納させた。この上納材は別の注文材とともに熊野川を新宮へ流送され,新宮から江戸への海上輸送は,のち1723年(享保8)に有力な熊野材木問屋を結成する木材業者が受け持った。…
※「木年貢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」