世界大百科事典(旧版)内の未決の形式の言及
【演劇】より
…すなわち演者は,当然そこに演じられる物語のすべてを知ったうえで,あたかもまったく知らないような顔をしてそれを演じなければならない。これは古典劇のように観客が熟知した作品の場合には,観客の内部でも引き受けられる〈遊戯〉であるが,このように全体構造を〈宙吊り〉にして,あたかもそれが不在であるかのように振る舞いつつ,しかもつねにそのような全体構造との関係で部分を,しかも時間の軸に沿って作っていくという,演劇に固有の体験を,S.K.ランガーは〈未決の形式〉と呼んだ。このような生成構造を前もって仕組んでおくものが劇作術にほかならない。…
※「未決の形式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」