世界大百科事典(旧版)内の本能行動の言及
【行動】より
…相対立する衝動の拮抗の結果,別の対象に行動を向ける転嫁行動redirected behavior(例えば上位の個体に攻撃された個体が下位の個体に攻撃を向ける場合)やまったく別種の行動が現れる転位行動displacement behavior(例えば闘争の最中に突然餌を食べはじめるような場合)も葛藤行動に含まれる。
【行動における学習の役割】
リリーサーと生得的解発機構はそれぞれの動物の種によって遺伝的にきまっており,それによって現れる行動を生得的行動innate behaviorと呼ぶ(従来これは本能行動instinctive behaviorと呼ばれたものであるが,本能という概念のあいまいさゆえに今日では用いられなくなった)。これに対して経験や学習によって形づくられる行動も確かにあり,それらを学習行動または習得行動learned behaviorと呼ぶ。…
【大脳辺縁系】より
…さらに前頭葉眼窩(がんか)面後部,側頭葉前部,視床前核,側坐核,手綱核,視床下部までも含めていう場合もある(旁辺縁系領域)。 辺縁系はこのように形態学的にも機能的にも,嗅覚系,自律神経系の領域とつながりをもっているが,そのほかに上位の皮質連合野(前頭前野や側頭葉など)や下位の中脳網様体系とも連絡しており,動物一般に共通な本能行動(摂食反応や性的行動など)や情動の発現(恐れ,怒り,不安,抑鬱(よくうつ),温和化,行動活発化)と深い関連をもっている。このように,自律神経系,内分泌系の統御機能を行うと同時に,大脳皮質連合野によってコントロールされた短期記憶や情動の発現の場であると考えられる。…
※「本能行動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」