世界大百科事典(旧版)内の松前口の言及
【異域・異国】より
…明・清国への朝貢国であったが,石高制の貫徹,薩摩藩士の常駐,キリシタン禁制,薩摩藩への貢納義務などは,幕府と大名島津氏の支配を示す側面であった。北の松前口からは松前氏が蝦夷地のアイヌ人社会に対して産物や労働力を編成したが,その関係は異域に対するものであった。異域が,琉球の場合薩摩藩の軍事力に制圧され,アイヌ社会の場合シャクシャインの戦で敗北したにもかかわらず,完全に内国化されなかったのは,日本の近世国家の側の利用の意図もあったが,基礎的な条件は異域自体の政治的文化的自立力が,日本への組込みの力を跳ね返していたからである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」