歴史的理性批判(読み)れきしてきりせいひはん

世界大百科事典(旧版)内の歴史的理性批判の言及

【生の哲学】より

…他方ディルタイは,因果関係を認識する知性,価値を評定する感情,目的を定立する意志の統一的な構造連関を生と呼び,生は人間個体に個別化すると同時にみずからを客体化し表出して精神的・歴史的世界を生むとした。そして生の表現,表出の全体すなわち歴史的・社会的現実を対象とする精神諸科学の認識論的基礎づけを〈歴史的理性批判〉と呼び,初めは生の構造連関を忠実に分析し記述する心理学,のち,生の体験の表現を了解により追体験する解釈学にその方法を求めた。ディルタイは生の表現を広義の歴史と呼び,生は歴史的な生であるとして生の歴史性を説いたが,生の創造性との連関の解明は徹底を欠く。…

【ディルタイ】より

…だが,彼の哲学的意義は,いわゆる精神科学の存立根拠と方法意識に関する――自己の具体的な歴史研究に根ざした――鋭く深い反省的考察にある。その重要な動機は自然科学に対抗した精神科学の自己主張であり,その意味で彼は自分の仕事をカントに倣って〈歴史的理性批判〉とも呼んでいる。自然科学と産業の興隆する時代の中で,先行するゲーテ時代との断絶の意識から出発したディルタイは,前時代の遺産の意識的継承によって文化的連続性の構築と,自己の文化的アイデンティティの確立をめざしたが,その重要な手段が精神科学であった。…

※「歴史的理性批判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android