世界大百科事典(旧版)内の比結合エネルギーの言及
【核分裂】より
…その利用は現在,原子炉,原子爆弾,放射性同位元素の生産など多岐にわたっている。原子力
[核分裂の条件]
原子核は,ボーアの液滴模型が示すように,液滴に似た性質をもっていて,基底状態にある原子核から1個の核子(陽子と中性子の総称)を分離するのに必要な平均エネルギー,すなわち核子1個当りの結合エネルギー(比結合エネルギー)は,非常に軽い原子核を除き核の大きさによらずほぼ一定である。しかし鉄のあたりより重い原子核では,だんだん重くなって陽子数が増えるにつれ,陽子間のクーロン斥力のために比結合エネルギーは減少し,言い換えれば1個の核子がもつ平均エネルギーは増加する。…
【結合エネルギー】より
…ただし原子核の場合には,核を作っている陽子,中性子の質量の和と,実際の核の質量との差を結合エネルギーとして考えるのがふつうである。多くの同種の構成粒子をもつ原子核や結晶では,ふつう1構成粒子当りの結合エネルギーを考え,原子核ではこれを比結合エネルギーと呼んでいる。また分子においては,その分子全体の結合エネルギーを解離エネルギーenergy of dissociationと呼び,化学構造式におけるある一つの結合手についての値を結合解離エネルギーbond dissociation energyと呼び,略して結合エネルギーと呼ぶ習慣がある。…
※「比結合エネルギー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」