世界大百科事典(旧版)内の民衆版画の言及
【版画】より
…この書物の挿絵としても,また複製版画としても,版画の影響ないし霊感の源泉としての役割は,印刷文化の複数性とその持運びやすさとによって,それ以前とは比べものにならぬ広大な地域に,ときには時代の枠をこえて広がっている。 一般に版画の民衆性は,宗教的なお守札やゲームカード,18~19世紀のエピナル版画Imagerie d’Épinalのような〈民衆版画l’imagerie populaire〉などに顕著に現れているように確かに重要な側面をなし,また壁紙や布地の模様印刷などにも用いられて,大衆の日常生活に浸透している。版画が比較的廉価であることもそれを助長する。…
【風刺画】より
…つまり,彼らに赦免,免罪符,司教座,封土を売りさばく〈貪欲〉な教皇を風刺しているのである。ドイツ,ことにニュルンベルクでは一枚刷りの民衆版画が大量に発行され,人気を博したが,その中には無名版画家の風刺版画も少なくなかった。たとえば《狐の尻尾店》には,上位者への贈賄や阿諛(あゆ)を必要とする階級への痛烈な風刺が見られる。…
【木版画】より
…わずかにP.P.ルーベンスの作品を複製した木版画家や,18世紀にはホガースに例がある程度である。そのほかには16世紀のパリの木版画版元が宗教的擾乱を避けて地方に散ってその種子となったように,18世紀には各国に民衆版画が盛んにつくられる。15世紀の木版画がみせた粗雑さと大衆的な廉価性を受け継いで,身近な宗教図像,歴史的事件,時事問題,男女関係などを図式化し,伝説化していった。…
※「民衆版画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」