世界大百科事典(旧版)内の民間文芸の言及
【口承文芸】より
…つまり,そう呼ぶほかない文芸の存する事実が万人の認めるところとなったわけである。ただ,民俗学者の柳田国男が最初に使ったからといってこれを狭い意味でのいわゆる〈民間文芸〉と同列にうけとり,昔話,ことわざ,唱えごと,民謡などをおもにさすと考えたら,口承文芸のもつ意味を矮小化することになる。それらを含むのはむろん,さらに講談とか落語とかもそれは含みうるのだが,しかし,ヨーロッパでいうなら口承文芸史の冒頭にはまずホメロス詩編の成立問題が来るだろうし,日本でなら《平家物語》をはじめとする語り物の類がその中軸になるはずで,《古事記》のかかえている問題なども素通りするわけにゆくまい。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」