世界大百科事典(旧版)内の沼河比売の言及
【大国主神】より
…兎を救った話は,民衆のために医療,禁厭(まじない)の方法を定めた(《日本書紀》)とあることの本縁譚で,もって王者の徳“慈愛”を語ったのであろう。(2)はヤチホコの神として越(こし)の国へ妻問いに赴く話だが,前半は越の沼河比売(ぬなかわひめ)との,後半は嫡后(おおぎさき)スセリビメとの長歌の唱和の体をとる。歌はそれぞれ20行前後の長さをもち,その身体行動に即した演劇的表現,性的表現の直截性,全編にわたる滑稽性において古代歌謡の特色をもっともよく伝えている。…
【須勢理毘売命】より
…オオクニヌシが根の国に赴いたさいスセリビメと結ばれるが,以後,彼女は妻としてスサノオの課したさまざまな難題の解決に夫を助ける。また八千矛(やちほこ)神(=大国主神)が高志(こし)の沼河比売(ぬなかわひめ)に求婚する歌物語では,激しい嫉妬を示している。その名のスセリはススム(進む)と関連する語で,みずから進んでオオクニヌシと結婚し,父神に背いて夫に協力する等の性情とつつみあうものであろう。…
【八千矛神】より
…この名は《古事記》にみえ,4首からなる物語的問答歌(〈神語(かむがたり)〉という)の主人公として登場する。武人的英雄神ヤチホコノカミは高志(こし)(越)国の沼河比売(ぬなかわひめ)に求婚する。第1首は女の家にやって来た男の求愛の歌で,戸外に立たされたまま夜が明けてしまう。…
※「沼河比売」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」