世界大百科事典(旧版)内の混合経済体制の言及
【アメリカ合衆国】より
…政策の目標は,従来の自由放任の市場機構に雇用と生産をすべて任すことなく,それを公共的施策で補い経済成長への刺激を与えることであり,そのために,全国産業復興法(NIRA),農業調整法(AAA),テネシー渓谷開発公社法(TVA),全国労働関係法,社会保障法など多くの立法が行われた。今日のアメリカ経済は通常〈混合経済体制〉と呼ばれるが,それは自由企業体制ないし競争的市場原理を基礎にしながら,各種の政府の政策的介入を受ける体制を意味するが,このような政府の経済介入が認められるようになったのはこのニューディール期以後のことである。しかし,政府が民間の経済活動に直接かつ大幅に行政的介入をしたのは大恐慌を克服する一時的手段としてであって,全体としてのニューディール政策の重点は,むしろ法的規制を強めて民間企業の行動を監視した点にある。…
【イタリア】より
…1922年から始まるムッソリーニ政権下では,電力・自動車・化学などの重化学工業が一層の発展を見せると同時に,国家機関による産業融資制度が発足し,〈産業復興公社(IRI(イリ))〉と呼ばれる国家持株会社が33年に創設された。現在のイタリア経済の基本的特質をなす混合経済体制が成立したわけである。 第2次大戦は経済・社会に大きな被害を与えて,45年に終結した。…
【ニューディール】より
…これらの政策は,資本主義体制の救済を意図したものであるが,それを達成するために多くのきわめて大胆で斬新な方策が導入され,その過程でアメリカ経済の構造には重要な変化が生じるにいたった。とくに政府の経済的機能が著しく拡大・強化され,国家権力による規制および政府資金の活用が資本主義経済体制の維持にとり不可欠の要素となったが,こうした事態は国家独占資本主義,修正資本主義,混合経済体制といった諸概念で規定されている。ローズベルト自身には当初から明確な体系だった政策論はなく,むしろ必要に応じて施策を行うといった面が強かったが,それだけに世論の動向には機敏に対応し,また急進的といえる改革政策が手がけられたこともあった。…
【民間部門】より
…現代の経済機構は,政府を中心とする公共部門と私的な諸個人や企業を中心とする民間部門からなる混合経済体制である。民間部門が財貨・サービスの生産や購入を行うと同時に,公共部門も公共財と呼ばれるサービスの提供や財貨・サービスの購入を行う。…
※「混合経済体制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」