世界大百科事典(旧版)内の《火星人襲来》の言及
【ウェルズ】より
… ウィスコンシン州生れ。演劇にとりつかれ,ニューヨークで,J.ハウズマン,J.コットンらの演劇人と親交を結び,黒人版《マクベス》の演出(1936),劇団〈マーキュリー劇団〉の結成(1937)を経て,1938年10月30日,アメリカ中をパニック状態に陥れた史上名高いラジオドラマ《火星人襲来》(CBSラジオの音楽放送が突然中断し,宇宙船の着陸を伝える臨時ニュースから始まるというショッキングな形式であった)によって,23歳のウェルズは一躍脚光を浴び,〈神童〉とうたわれ,劇団ごとハリウッドに迎えられることになる。《市民ケーン》における類例のない〈パンフォーカス〉撮影,《上海から来た女》の〈鏡の間〉のモンタージュ,《偉大なるアンバーソン》《黒い罠》における息の長い〈ワンシーン・ワンカット〉撮影等々,革新的な映画技法を駆使する一方,チャップリンの《殺人狂時代》の原案も彼の手になるものであり,また性格俳優として自作以外にも数々の映画に出演,C.リード監督《第三の男》(1949)のハリー・ライムを頂点とする彼ならではの強烈な〈怪物的〉キャラクターを演じている。…
【パニック】より
…危険の直接的知覚ではなく,危険の発生を知らせる情報によって引き起こされるパニックを,とくに〈情報パニック〉と呼ぶことがある。1938年10月,アメリカのCBSラジオが火星人来襲をテーマにした,O.ウェルズの《火星人襲来》というラジオドラマを放送し,100万人以上の聴取者に深刻な混乱を引き起こしたできごとがあった。これは,情報パニックの典型例としてきわめて有名である。…
※「《火星人襲来》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」