世界大百科事典(旧版)内の無尽銭土倉の言及
【御倉】より
…財産の有効な保管方法のなかった公家や庶民は,縁故をたよってこれら商人の土倉や,寺社の倉に財物を預託した。保管を依頼する倉は無尽銭土倉に限られるわけではなかったが,保管だけではなく出納まで委任するようになると,預託額以上の借越しや,預託銭の運用・利殖が可能な無尽銭土倉が多用されることになったものと思われる。室町時代の土倉は,このような経緯で,動産質による金融だけでなく,財貨の保管や出納も行う業者であった。…
【土倉】より
…一方,土倉を持つ商人に縁故のある者も,火災や盗難から財産を守るために土倉に財産を預託することがあり,時としては預託財産を担保とした金融も行われていた。鎌倉時代後期には質物を預かって金融を行うことを業とする者を〈無尽銭(むじんせん)土倉〉と称し,南北朝期ごろになると単に〈土倉〉と呼ぶようになった。このころまでの京都の土倉は山門(延暦寺)や祇園社など有力寺社の被官であるものが多く,ことに山門の影響下にあるものが8割を超えたという史料もある。…
【無尽】より
…51年〈相互銀行法〉の制定(1951年10月施行)により物品無尽会社1社を残して,すべて相互銀行に転換した。【森 静朗】
[歴史]
中世において無尽は〈無尽銭〉として使用,〈無尽銭を貸す〉,あるいは〈無尽銭土倉〉などの表現をとる。1279年(弘安2)の史料には,石原家高に腹巻を質物(しちもつ)として無尽銭を貸した鎌倉の住人慈心のことがみえ,このことから無尽銭の貸出しは質物を取ることが原則であったことがうかがえる。…
※「無尽銭土倉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」